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2005年7月 8日 (金)

クリティカル・シンキング

 今日7月8日の日経新聞夕刊17ページに、「だまされる心」と称してクリティカル・シンキングを研究する信州大学助教授・菊池聡氏の紹介記事があった。クリティカル・シンキングというと何だか難しそうな響きですが、要は「クリティカル・シンキングを身につけると、だましには強くなります」という認識を持ればよいことです。しかし日本の教育では「教えるのは友情と信義の物語」だけだということで、やや手厳しい。
 しかしこの記事の冒頭では「人間はだまされて当たり前です」という文から始まっています。これはどういうことか。「多かれ少なかれ、人間の認識にはだましがひそんでいます。正確に認識しないこと、あいまいに、あるいは都合よくゆがめてものごとをとらえることが、案外人生の要諦だったりするのかもしれません。自己認識があまりにも正確だと、うつ状態になりかねないと言われています。自分には今の評価以上の価値がある、という具合に自分に幻想を持つことができないと、自らを追いつめてしまうことになりますから」ということだそうです。

 しかし、私事に当てはめて考えてみると、だいぶ昔の話になりますが、就職活動のころにも、両親の邪魔で活動に力が入らず、今の学生ならば当たり前のようにする自己分析を怠ってきたために、大学の友人は皆、平均的日本人ならば誰もが知っている大企業に就職したのに対して、私は地方の小さな廻船問屋に都落ちを余儀なくされたのです。
 その会社に入っても、自分がわからないことからうつ状態に陥り、東京から名古屋までのさまざまな病院を渡り歩くことになりました。とはいえ、自分が病院巡りをしていることの目的が、自分をわかることだということの認識もはっきり持ないままにうつ状態に苦しんでいたわけですから、どんな名医・カウンセラーにしても一刀両断の診断を下せないのは当然で、そのころに出会った医者・カウンセラーの方々には多少の申し訳なさと、そこの苦しみをわかって欲しかったという後悔の念とが入り交じります。

 新聞記事の最初に人間はだまされて当たり前、と書かれていますけれども、それを分析して菊池助教授は「第一は、ある種の権威を伴った社会的な情報」「第二は、人間が持っている未知へのあこがれ」「第三の要因は自己決定の代行」「要因の第四は、無意識の推論による錯誤」とまとめました。それらから自らを遠ざけるには、クリティカル・シンキングの訓練と学習が必要、と説く助教授だが、先述したように日本の教育は、このクリティカル・シンキングを養成するようにはできていない。初等教育のうちから討論・ディベート教育を行う欧米と比べると、高等教育の段階になっても権威に盲従することを教える日本では、信じがたい常識が社会にまん延することになります。その代表例が血液型性格占いだそうです。世界的には全く相手にされていないのに、なぜか日本と韓国だけでは異常に浸透しているのだそうです。そういえば、韓国の学生はよく勉強する、とは聞きますが、欧米的な真理の追求型ではなく、日本と同じ、いやよく学ぶのだから日本以上に権威への盲従が高等教育の目的になっているのかもしれません。

 そこでまた私事に戻るのですが、私はかつて(いや、現在も将来も)大学院で学ぶ夢があったのですが、両親の邪魔もさることながら、自ら大学院で学ぶ、ということはどのようなことかを全く理解しないままにそのような夢を持ち続けてきたのですからこっけいとしか言いようがありません。今は学生ではないので、大学院に入り直すとしたら社会人入学しかないのですが、学生のストレート進学と違い、社会人入学をもくろむ人たちは大学院受験時に「研究計画書」の提出がどこの大学院でも義務づけられています。最初にクリティカル・シンキングとはだまされにくくなること、と述べましたが、この単語の和訳が「批判的思考」とされているように、本来の高等教育ではこのクリティカル・シンキングが必要不可欠なのです。私が大学院で学ぶ目的と何を研究するのか、実地の職場で生じた疑問をそのままぶつけられればそれが理想的なのですが、私の専攻は国際政治学、当然のことながらよほどの幸運にありつけない限り、それを業とすることはあり得ない分野です。ですから、資料や先行研究に対してクリティカル・シンキングでもって検討を加えて、自らは学問に何の貢献をなすつもりか、それができていないと「研究計画書」の段階で大学院入学をあきらめざるを得ないのです。

 そういえば、自分探しからうつ状態になった私を救ってくれたのは、ADD(Attention Deficit Disorder:注意欠陥障害)と私を診断してくれた東京の小さな医院です。そこでおととし、精密な適性検査を受け、言語性検査では「知識」と「数的操作」の能力で高得点を挙げ、「短期記憶」と「理解力」では点が低く、動作性検査ではすべてにわたって低得点であった、という結果を得ました。

 それとクリティカル・シンキングと何の関係があるのかというと、このような適性の人間がクリティカル・シンキングを持たないままに学んだり習ったりすることは、先に述べた人間がだまされる四つの要因から逃れるどころか、かえってその要因を強化するために学び、習うことになります。すなわち疑ってかかるべきことを、逆に四つの要因というものを受け入れ、補強するために学び、習っていたわけですから、だまされやすい(詐欺に遭いやすい)かどうかは別として、学問への適性が欠けていると見なされても仕方がないわけです。そういえば、私が読むのが好きな本というのは、確かに学問的な研究書とか啓蒙(けいもう)書といった本です。それらの本は本来クリティカル・シンキングでもって資料批判すべきもので、まさに批判的に摂取しなければいけないのですが、それらを私は知識としてせっせとため込むような読み方をしてきました。結構話題の本とか研究書とかは持っているのですが、それが生かしてこないことをしていたわけです。
 最近は私ごときがこのように書き連ねているように、ブログが大はやりですが、ブログの中には紙媒体のジャーナリズムに負けず劣らず優れた記事を書き続けているブログも結構あります。そういうブログを書いている人たちはまさに、クリティカル・シンキングを持ち合わせている人たちで、私のように疑うのが苦手な人間にとっては、どうしたらこのような優れたブログが書けるのかと考えると、思わずため息が出てしまいます。

 そういえば私が言語をかじるのが好きなのは、言語を学ぶためにはクリティカル・シンキングより、とにかく習うことが大事だというのが性に合っているせいではないでしょうか。しかし、上述の適性検査では「記憶」に関する能力はかなり低かったので、自分の勉強における復習嫌いと合わせて、言語を習得するのにはかなり不利に見えます(実際単語と文法を覚えるのが大変なんですよね、言語学習というのは)。それから言語習得では体は動かしませんが、体を動かすがごとく、習慣的なトレーニングが有効なことが一部で言われています。この点でも運痴である私には不利に作用するのですが、本当に体を動かすこととはまた違うので、要は学習を(できれば)毎日の習慣にできれば、語学のかじり逃げが少しは直るのではないでしょうか。その点、今作っている「アンチ・バベルの塔」を構築し続ければ(復習を欠かさずに)悪習慣は変わる起爆剤として期待しています。

 しかし最終的に大学院進学を果たすには、語学力の育成とともに、やはりクリティカル・シンキングの能力もつけなければいけません。語学のかじり逃げ病は勉強習慣を作ることで直るかもしれませんが、クリティカル・シンキングの能力はただだらだら活字を読んでいるだけでは直らないし、かえって悪化するかもしれません。できればしかるべき人に頼んで、批判的思考力の養成を手伝ってもらうのがベストだと思います。

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学問」カテゴリの記事

コメント

初めてお邪魔させていただきます。
前回のポストにも共鳴しましたが(翻訳は英語ではなく日本語力というところ)、大学一年生の頃散々クリティカル・シンキングをしろと言われたのに、これはなかなか難しいですね。どうしても自分で批判的に考えるより、他の知識の受け売りをしてしまいます。

現在アメリカのあるブログを下で翻訳中なのですが、
http://outsiders.cocolog-nifty.com/long_tail/
協力していただける方を募集しています。翻訳は勉強の傍ら趣味でやっているんですが、興味をお持ちでしたら、メールに連絡をして頂くかしてくれたら嬉しいです。

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