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2005年6月14日 (火)

俺はニートだ!

 プロフィールにも記しましたが、私はニートである。ただ政府の定義(15歳から34歳のうち、就職の意思がない人と意思があっても求職活動をしていない人を合わせた者で現在、日本には52万人いるとされている)によると、ニートの基準からは外れることになります。年齢のせいだからです。私の年齢については5月14日の記事を見てください。
 政府がなぜこのような定義を決めたのかというと、現34歳以下のことを団塊ジュニアと称して、人口の一大構成層をなしているからではないでしょうか。またうがった見方をすれば、求人で企業が求めているのは35歳以下なので、それより上の年齢の者はほかの定義ではニートに当てはまっても、もはや役立たずとして切り捨てているのかもしれない。つまり一種の高齢者だ。
 Not in Education, Employment, and Training(NEET、ニートの原語)から抜け出ようと、近所にある大学院に通学する話も親としました。つい最近までは職安やしごとセンターに通って職探しもしました。"Training"を受けるために、自分で探して大学のオープンスクールに通ったり、専門学校に通うか、あるいは通信教育を受けるかも検討中です。
 話は変わって本物のニートの話。企業側は昨今の好景気、または2007年問題と呼ばれる団塊世代が大量に退職する可能性を想定して、新卒の採用を増やす(可能性が高い)と新聞などにアナウンスしています。しかしそこには落とし穴があって、企業側が求める能力を持った(実際には協調性が豊かな、という意味であろう)人材が得られないのであれば必要な人数がそろわなくても採用を打ち切る、とも一部のメディアには報じられています。
 そこで問題。果たして企業は採用を増やして、新しく発生するニートの源を減らすでしょうか。私は絶対にそういうことにはならないと断言します。現時点でさえ、リストラで人数が減った部署に人が減る前と同じだけの仕事を割り振っておいて、サービス残業・深夜残業でこれをカバーしてきた企業側にそのようなことをいわれて信じるバカがどこにいますか。団塊世代が大量に退職する、といわれる問題にしても、企業は今まで長い間働いてきた人材を、海のものとも山のものともつかぬ新人に切り替えるでしょうか。もちろん今まではそうしてきたわけだから、2007年問題が起きるといわれているのですが、不吉な予言を一つ。企業の社長などに人気の高い作家である堺屋太一氏が、「団塊の世代は不可能を可能にしてきた」といい、さまざまな例を挙げていますが、将来の予言として、この2007年問題をも彼らはクリアしてしまうと、つまり定年延長や再雇用、そのほかの方法で退職から逃れると予言しているのです。
 我々ニートの側では全力を挙げてこれを阻止しなければならないのですが、数々の予言をあて、名言を生み、財界に大きな影響力のある堺屋氏の台詞なだけに、そんな世の中を生み出してしまうのを見越しているのでしょうか。しかし現役のニート、あるいは私のようなニートOBにとっては、少しでも日本の会社の中に自分の居場所をつくる必要があります。その居場所とは、主に現在は団塊世代が会社の中で占拠しているのです。
 そもそも日本の会社はコスト削減のために最低限、あるいは仕事上必要な人数から見て少ないと思われる人数で仕事を回しています。これが欧米では、有給休暇などで人数が足らなくなることを想定してあらかじめ、仕事を回すのに必要な人数より多くの人員を配置しておくのが一般的とされています。さらにオランダでは、一部必要な人数の二倍の人員を配置しておいて、午前と午後で人を使い分けるといった、いわゆる「ワークシェアリング」が行われており、日本でもこれを取り入れてはどうか、といった主張が2~3年前にはありました。最もその主張をしていたのが左翼系の学者が主体であったために、政策には何ら影響を与えずにメディアから消えていきました。
 しかしわざわざワークシェアリングまで行わなくても、現在行われているすべての残業(サービス残業はもちろんのこと法定内で容認されているすべての)を解消する、と仮定すれば、今存在する52万のニートはともかく、それよりはるかに数の多い、仕方なくフリーターで糊口(ここう)をしのいでいる者も、即座に正社員として吸収される計算になる、との意見もあります。問題はサービス残業を取り締まるべき日本の労働基準監督官がほとんど機能していないことです。日本の法律は経済犯罪に甘いとは、自らも起業家である、軍事ジャーナリストの清谷信一氏の台詞ですが、経済犯罪を監視する部署がまともに機能していないのでは、むべなるかな、といわざるを得ないのですが、自らもそのことに苦しめられた過去があるので、納得している場合ではありません。
 社会の側も手をこまねいているわけではありません。フリーターという低賃金労働力、ニートという非労働力の存在を甘受しては、さまざまな社会制度が維持できないからです。フリーターやニートの問題が協調性の問題というのなら、我々のコミュニケーション能力を高めるセミナーなどが職安などで開催されています。最も私も含めてフリーターやニート個人に対してその情報がなかなか届かないという問題があります。政府も有識者を集めて対策会議を開いています。しかしこれも隔靴掻痒の感は否めません。
 さて、ニートとしては何をすべきなのでしょうか。現在求職をあきらめているとはいえ、全員が求めているわけではないとはいえ、ほとんどのニートは職に就くことを求めているはずです。ただ、会社が求めている技能と経験を我々は持ち合わせていないが故に、求職活動をあきらめているのに過ぎません。我々ニートが会社で働く協調性や営業能力を持ち合わせていないというのであれば、一人で働ける仕事を探して、その仕事に就く努力をするのがいいのでしょうか。それとも自分探しのために大学に(再)入学して2年ないし4年間を過ごしてみるのがいいのでしょうか(ちなみに大学院でもいいのですが、大学院の入試で自分探しのそぶりをちらりとでも見せると、大学関係者は露骨にいやがるので注意してください)。それとも極論になりますが、ニート52万人を核に、150万を超す若年失業者、数百万のフリーターを併せて政治団体、あるいは圧力団体をつくるのがいいのでしょうか。
 簡単に結論が出る問題ではありませんが、ブログ「労働、社会問題」では、新卒者をニートやフリーターにせずに職を与えるにはどれだけの労働需要が必要かを算出してあります。これによると、現在の求人量では、到底若年失業者の発生を食い止められないどころか、少子化といわれる現在15歳以下の世代でさえも、18歳、20歳、ないし22歳の選択では失業者とならざるを得ない層が現れるということです。
 となるとマクロの対策では需要の喚起、ということになるのですが、ミクロの対策では各個人が弱肉強食の世の中で自らの選択を間違えずに職に就く、就職したら石にしがみついてでもその会社を辞めない、というごく普通の結論に落ち着くことになります。

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コメント

TBありがとうございます。
若年失業率の増加→労働意欲・能力の喪失、社会関係の希薄化というかたちでニートと呼ばれる人たちの再生産が起きているのは事実かと思われます。失業の長期化は労働スキルをはじめ人間の広範な能力を低下させる可能性を否定できません。その限りで対症療法としての対策(若者の人間力?開発など)は全く不要とは言いませんが、そもそも根本療法(マクロな経済政策)が為されればそれなりに解消していく問題ではないでしょうか。それにその方が効率的なのに、行政の対応はムダを無くすといいながらやっていることは常にあべこべのような気がしてなりません。

>すなふきん様

 コメントありがとうございます。本当にフリーター・ニート対策に頭を練ってもらいたいのは個人でも政府でもなく、我々を雇うべき企業の側です。残業(特にサービス残業や深夜残業)を当然視する現在の風潮を変えて、幹部社員を除くすべての社員が勤務時間内に退社できることが当たり前になる社会をつくる必要があります。
 政府サイドではマクロ経済的な対策がベストなのでしょうが、現在小泉政権下で緊縮財政が行われており、国民もこれを財政改革の名の下に支持している状況では、赤字国債発行による需要の喚起は難しいといわざるを得ません。
 そうなると、緊急にできる対策は残念ながら個人の意識改革といった小手先の対症療法にならざるを得ないのではないでしょうか。

始めまして

帝塚山大学で経済学を教えている中嶋航一と申します。最近、ニートやフリーターの問題を経済学的に解説しています(上記URLに、中嶋航一「eラーニング経済学」という講義名で一般に授業内容を動画で公開しています)。ただどうしても「親父の説教」になりがちで、学生達に現実的な話をすることができません。もしよろしければ、ネットライブで授業中に参加して、ニートやフリーターのお話をしてくれませんか?そちらで用意していただくのはウェブカメラとヘッドフォンセットだけです。顔が出るのがいやなら音声だけで結構です。いかがでしょうか?

中嶋航一拝

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