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2005年5月22日 (日)

『英語を学べばバカになる』?!

 私はおととい、手提げ袋に入れるくらいの本を購入しました。その中に表題の本があります。私は立ち読みする本は時間をかけて立ち読みするのですが、そういう本はだいたい買わずにすませます。買う本は表題を見て、帯を見て、だいたいの内容を推察して買うものです。このような表題ですから、言語学者か脳神経外科あたりが警告を発する意味で執筆したのではないかと想像して、「趣味は外国語をかじること」の私にも問題があるのか、と思い、じっくり読んでみる意味で買ってみました。
 しかし、内容は完全に裏切られました。そもそも執筆者は社会学者で、本を読み進めるとわかりますが(失礼な表現ながら)フランスびいきの方です。論旨も言語学的な批判ではなく、社会学的な内容を主としています。というか、タイトルは看板倒れで、サブタイトルの『グローバル思考という妄想』が本タイトルならば正当に内容を著しているでしょう(と同時に売れ行きも下がるのか?!)。すなわちこの本の著者である薬師院仁志氏の主題は、英語に罪があるわけではなく、英語が英米を主としたアングロサクソン文化と密接に結びついている点に着目し、英語を身につけ、自らの存在を「発信」することはアメリカ文化に染まることである、と力説しています。
 そして、ただの社会学的妄想でないことを証明するために、しっかり数字を挙げてから政治的予測もたてて、いっぱしの予言者気取りの筆致で書かれています。フランス的視点からアメリカ合衆国の衰退を予言する一種の「英語帝国主義」論者であるといえます。本人はあとがきで親米主義でも反米主義でもないとエクスキューズしていますが、本文中に『帝国以後(エマニュエル・トッド著、藤原書店2003刊)』の一節「日本のような国にアメリカ型自由主義モデルに基づいた規制緩和を持ち込むことは、極右勢力の台頭を引き起こすに違いない」を引用して、小泉政権の規制緩和路線を批判しています。
 私自身についていえば、この本で高笑されているe-learningで欧米の先進学問を学びたいという希望を持っているので、「英語は必要ないか」と問われれば、「非常に必要である」と答えたい。しかも英語一言語の世界では悲しいので、今までかじった言語、たとえばドイツ語やフランス語、それにロシア語や中国語あたりで専門文献を読めるようにしたいという野望を心に秘めているのも確かです。そのe-learningに代表される教育の産業化にもやはりフランス的視点から批判を加えている。

フランスでは、教育といえば初期教育がほとんどすべてである。最近は多少変わってきたものの、基本的に、学校へ行くのは若いうちだけなのだ。だが、アメリカは違う。事実、アメリカの大学生の年齢構成は実に多様である。

 このアメリカ合衆国の「生涯教育」的発想にどのように批判を加えているかというと、

その背景の一つに、アメリカにおける転職率の高さがある。
 民間部門で働くアメリカ人は、人生の間で、平均六つの勤務先を渡り歩く。ヨーロッパ人から見れば、この数字は異様である。

 確かにアメリカ合衆国の常識では、必要なときに必要な資格を取得するというもの、すなわちここでは転職を挙げているのですが、現在の日本では、22歳(または23歳ですか)の時に入り損ねて、あるいは入る気がなくて、30代になって大学院で人生を考え直すケースがアメリカ型に劣らず多いのではないでしょうか。。私もそれを目指していたのですが、人生のさまざまなトラップにかかってしまい、座敷牢に閉じこめられる始末になってしまいました。ほかにもさまざまな年代の方々が、一種のカルチャーセンターとして大学院に通っているケースを聞きます。
 結論として、「英語」がどうこうという視点でこの本を買うと確実に裏切られます。しかしアメリカ文化、ヨーロッパ文化(といってもほとんどフランスだけだが)の対峙(たいじ)、それに対して日本はどう直面するか、という文明的視野から日米欧の三極を見つめたい方にはおすすめです。

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» 英語を勉強するわけ [狗頭羊肉]
ここのところフランス語だ、ロシア語だといわゆる第2外国語に執着しているようだが、やっぱり大事なのは、今や世界共通語の一歩手前まで来ている英語である。私がいわゆる第2外国語の方に熱心なのは、英語だけだと... [続きを読む]

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